小橋家がお出かけの場所や日程を話し合うとき、
三女の美子は、祖母の店で奉公人の着物を縫う手伝いをしたいけど、
長女の常子に言うと叱られると思い、勉強会に行くと嘘をつきます。
姉妹の家には家訓があり、その一つが“月に一度家族皆でお出掛けすること”です。
常子は父親が亡くなった後も、これを守ろうとしていましたが、
美子は反発していました。
常子:どうして嘘をついたの?
美子:言ったら行くなと言ったから。
常子:家訓を破ってはいけない。
美子:そんなに家訓って大事なの?どうしても守らなければいけないこと?
常子:当たり前でしょ。
美子:他の家に家訓なんかない。家訓なんで止めればいい。
常子:家訓はとと(父)がずっと大切にしてきたことなのよ。私は約束した。ととの 代わりに家族を守るって。
美子:約束したのは、とと姉ちゃんでしょ。私は約束してないもん。私は小さかったから、ととのこと思い出せないの。だから、「ととは」って言われても、ぴんとこない。それに、ととが生きていても、家訓を続けていたと思う?あの頃と今は状況が違う。
常子:いい加減にしなさい。家訓をやめるなんで絶対認めませんからね。
常子と美子の間には、家訓をめぐる価値観の対立があります。
訓を守り通そうとする姉に向かって、
美子は正面切って反論することができなかったので、嘘をつくしかなかったのです。
このような対立は、親子の間でよく起こります。
親の価値観を押し通そうとすると、子どもは自分の価値観を主張できなくなります。
従順な子どもは親の言う通りにします。
そうでない子どもは親と対立するか、
それができないときは嘘をつくか、隠れて行動するしかなくなります。
親子の価値観が異なるときは、親の方が歩み寄って、
子どもと話し合う必要があります。