人に対して「嫌い」とか「腹立つ」とか、ネガティブな感情をもってはいけないと思っている人がいます。
しかし、感情は自然に湧いてくるもの。良いも悪いもありません。
「好き」も「嫌い」も同じように、大切な感情です。どんな感情でも、持っていいのです。
「嫌い」という感情を、抑えるのではなく、受け入れることが大切です。
隠そうとすると、不自然な行動になります。「嫌い」という感情が、かえって増します。

母親のことを嫌っている人が、不快な思いを話した後、「自分を育ててくれた」「私のことを大切に思ってくれている」「お母さんも、母親との関係が良くなかった。辛い目にあった」と付け加えることがよくあります。
さんざん嫌な思いをさせられたのに、どうしてかばうのか、不思議に思うことがあります。
それは、親を悪く言うことに罪悪感を抱くからでしょう。
親に対して、「嫌い」とか「腹立つ」とか感じるのは、自分の素直な気持ちです。
親を否定することにはなりません。
親にされたり言われたりして嫌だったことを話しても、親から受けた恩を否定することにはなりません。
親の人格を否定することにもなりません。
「嫌い」という気持ちは、どこかで表現する必要があります。
本人に直接言わなくても、誰かに話すことで、貯まった気持ちが解消されます。
嫌い、怖い、不快といったネガティブな感情は、自分を守るためにとても貴重です。