「聴く」のは、難しいです。
相手の話すことを、聞き流したり、取捨選択して聞いていることが多いです。
「聞く」「聴く」「訊く」の3つの漢字がありますが、僕は、だいたい、次のように使い分けています。
「聴く」― 相手の話を理解しようと真剣にきいているとき。
「訊く」― こちらが知りたいことを相手に尋ねようとしているとき。
「聞く」― 力を抜いて、話や音に耳を傾けているとき。
この中で、「聴く」のは、とびきり難しいです。
相手が話すことを、相手の世界、考え、価値観、気持ちの中で理解する必要がありますが、
どうしても、私の世界、考え、価値観、気持ちで理解しようとします。
そうすると、相手の話を歪めてしまいます。
自分の考えを確立するのはとても大切ですが、それが聴くのを邪魔することがあります。
自分の考えや価値観に反していると感じると、相手の話を排除しようとします。
自分の考えを守るのに適した考えだけを選ぼうとします。
自分の子どもなどに対して、教えようという思いがあると、この傾向はさらに強くなります。
「正しい・誤っている」「こうすべき・こうすべきでない」といった価値判断が入ります。
「正しい」「こうすべき」という考えに即している場合は受け入れますが、
そうでない場合は正そうとします。
そうすると、まともに聞けなくなります。
相手の話を聴くとき、自分の「価値判断」を封じる必要があります。
相手の考えや価値観、気持ちに沿って聴いていくと、理解が深まっていきます。
相手は聴いてもらっていると感じます。
人の話を聴ける人と、聴けない人の差は、どこからくるのでしょうか。
僕は、幼少期からの、親や親しい人とのコミュニケーション・スタイルがとても大きな影響を与えていると思います。
自分が話した時、批判したり否定されることなく、聴いてもらった人は、自然と人の話を聴けるようになります。
ところが、何か話すと、否定されたり、意見されたり、無視されたりした人は、なかなか人の話を聴くことができません。
どうしたら、人の話を聴くことができるようになるのでしょうか?
トレーニングだと思います。
トレーニングにはコーチが必要です。
親子、夫婦、同僚、友人など、日々の人間関係が実践の場です。
どんな会話をしたか、どこが難しかったかを話し、修正していきます。
そうすることで、聴く力が、増してきます。
新しい年が始まりました。
聴く力を、磨いていきましょう。