カウンセリングの仕事をしていると、感情の大切さに気づかされます。
ところが、思考と比べて、感情についてあまり理解されていないようです。
怒りや不安、恐れなどを強く感じる人は、 自分について説明することはできても、 自分の気持ちや感情をよくわかっていないことがあります。
感情は生まれた時から少しずつ発達していきます。
生まれた直後の感情は、興奮、快、不快といった、とても単純なものです。
そこから、悲しみ、嫌悪感、怒り、恐れ、驚き、愛、喜び、憎しみ、妬み、恥……、いろんな複雑な感情に枝分かれしていきます。
体を動かすためには、骨や筋肉の可動性や柔軟性が必要です。
これが不足していると、ケガをしやすくなります。
心の健康を保つためには、感情と思考の柔軟性やバランスが必要です。
これが不足していると、対人関係でのトラブルが増えます。
感情のコントロールがうまくできると、対人関係がスムーズになります。
自分の感情を、出し過ぎず、抑え過ぎず、適切に表現できるようになると、
人と一緒にいることが苦でなくなります。
成人して、感情のコントロールがうまくできるかどうかは、
子ども時代に自分の感情を安心して表現できる環境があったかどうかに掛かっています。
子どもが感情を表現したとき、周りの大人が受容すると、
子どもは安心して感情を表現できるようになります。
ところが、否定されたり無視されたりすると、
子どもは感情を表現することをためらうようになります。
このような子どもが大人になると、
無意識のうちに感情を抑圧したり無視したりするようになります。
ついには、感情を表現するような場面を回避するようになります。
感情のコントロールがうまくできないために、情緒が不安定になったりします。
子育てをしていると、子どもが感情をストレートにぶつけてくる場面に出会います。
親自身が子どものときに、自分の感情を自由に表現できなかった人は、
自分の子どもが感情をぶつけてくると、とてもつらくなります。
子どもは気持を自由に表現しているだけなのに、攻撃されたように感じます。
このようなとき、カウンセリングなどを通して、自分の子ども時代を語ることで、抑えつけていた感情から解放されて、楽になります。