カウンセリングをすると「過去を掘り起こすことになるんじゃないか」と不安になる人がいます。
子育てや人間関係に悩んでカウンセリングを受けにくる人の多くが、
うまくいかないのは自分のせいではないかと思い、とてもつらい気持になっています。
何とかしたいと思い、勇気を振り絞って、カウンセリングにやってきます。
ところが、自分に向き合うと、見たくないものを見ることになるのではないかと、不安になります。
私は、「掘り起こすんじゃなくて、耕すんです。怖いものは出てきませんよ。きっと宝物が見つかると思います」と話します。
カウンセリングで話しているときに、これまで忘れていた過去の出来事を、ふと思い出すことがあります。
親や兄弟姉妹、友だちに言われて傷ついた言葉など。
でも、話すことで、気持ちがすっきりします。
そして、そんなつらいことがあっても、乗り越え、生き抜いてきた自分への賞賛の気持ちに変わります。
「弱い、このままじゃダメだ、強くならなきゃ」と思っていたのが、
「弱くてもいい。このままでいい」と思えるようになります。
自分のことを愛おしく感じるようになります。
心は土壌に例えることができます。
土壌がしっかり耕され、水や肥料が行き渡っていると、種は芽を出し、花や実を咲かせます。
でも、耕されていないと、うまく育ちません。
人の心は、これと同じだと思います。
カウンセリングは、心を耕す作業です。
しっかり耕すと、必ず、素敵な花や木が咲きます。