先生や親御さんから、「この子はプライドばかり高い」という発言を聞くことがあります。
私は、これを聞いて、「この子は今、プライドがなかったら生きていけない。プライドがこの子を支えている」と思います。
勉強や人間関係などで問題をたくさん抱えている子どもは、どんなに強がっていても、「自分は何をやってもうまくいかない」、「自分はだめだ」と感じています。
「自分に価値がない」と感じるのは、とてもつらいことなので、意識から遠ざけようとします。
それでも、自分には誇れるものがないと感じているので、
人を見ると、うらやましい、情けないといった感情が湧き起こってきます。
とても傷つきます。
そこで、傷口をふさぐために、応急処置をしなくてはいけません。
それが、プライドなのだと思います。
自分は、そのままでは、とても人に見せられないと感じているので、
高い塀を築いて、隠す必要があります。
例えば、受験をするときに、実力とかけ離れた、偏差値の高い学校を希望する子どもがいます。
周りの人は、「実力もないのに、努力もしないのに、高望みしている。現実が見えていない」と言います。
しかし、この子には、「現実の自分」を見ることができない心の事情があることを理解する必要があります。