子どもが、腹が立つ、不満、イライラする、心配、不安……と言ったとき、親は、「腹を立ててもどうしようもない」、「それくらいのこと我慢しなさい」などと言うことがあります。
親は励まそう、慰めようと思ってこのように言うのですが、子どもは自分の気持ちを否定されたように感じます。
これが度重なると、子どもは「つらい気持ちは伝えてはいけない」と思うようになります。
次第に、自分の中にこのような気持ちがあることに気づかなくなります。
「親を悲しませたくないので、つらいことや悲しいことは話しません。楽しいことだけを話します」と言う子どもがいます。
つらい気持ちを表現できずに溜め込み、心の奥深くにしまい込んでしまうと、気持ちに触れるのが怖くなります。
例えば、とても寂しい思いをすると、耐えきれないので、「そんなに寂しくない」とか「みんなこれくらいの寂しさは味わっている」と考えて、寂しさを和らげようとします。
カウンセリングの中で、それまで忘れていた出来事や、気づかなかった気持ちが蘇ってくることがあります。
いろんな説明をつけて自分の気持ちに蓋をしていたのが、蓋が外れて、気持ちが外に出てくるようになります。
特に、子どもを育てるときに、自分の気持ちに気づかされることがよくあります。
子どもを愛そうとして、自分が親に愛されていない寂しさを感じることがあります。
子どもを愛したいと思っているのに、意地悪な気持ちや言葉が出てくることがあります。
こんなとき、自分を責める必要はありません。
自分の中にいる子どもが、「もっと私のことを愛して!」と叫んでいるのです。
「自分の中の子ども」の声を聞いて、「寂しかったね」、「つらかったね」、「悲しかったね」と言ってあげるといいです。
「自分の中の子ども」の声に耳を傾けてあげると、目の前にいる子どもをもっと愛することができるようになります。