他の人が考えや気持ちを話したとき、
言いたいことがあっても、何も言えなくなる人がいます。
「これを言ったら相手にどう思われるだろう」
「嫌われるのではないか」
そんなふうに考え始めて、
自分の考えや気持ちを言えなくなってしまうのです。
こうした状態には、
これまでの経験が影響していることがあります。
幼いころ、親や先生など周りの大人に、
自分の気持ちや考えを聞いてもらえなかったり、
否定されることが多かった人は、
理不尽な思いをしても、
何も言わずに心の中に閉じ込めるようになります。
悔しい、情けない、みじめ、恥ずかしい、腹立たしい、怖い、悲しい。
こうした感情は、
軽いものであれば時間とともに落ち着いていきます。
しかし、強いものだったり、
何度も繰り返されると、心の中に残り続けます。
そして例えば、今「怖い」と感じたとき、
過去の出来事そのものは覚えていなくても、
そのときの「怖かった感情」がよみがえってきます。

「今の感情」と「過去の感情」がつながることで、
今の出来事だけでは説明できないほどの強い反応が起こるのです。
私たちは、感性(感情や感覚)と理性(思考)を使って、
出来事を捉えています。
ところが、カウンセリングの中でお話をうかがっていると、
理性に偏っている方が多いと感じます。
分析したり考えたりすることは得意でも、
感じることが苦手なのです。
感情や感覚を通しての経験は、
論理だけでは理解することができません。
感じることでしか、分からない部分があります。
相手の言動に対して、
自分の気持ちや考えを無理なく伝えられるようになるためには、
感情や感覚の働きを少しずつ取り戻していくことが大切です。


