人の話を聞いているつもりなのに、
うまく伝わらないと感じることがあります。
分かってあげたいと思っているのに、
「分かってもらえていない」と言われてしまうこともあります。
どうしてこうなるのでしょうか。
私たちは、人の話を聞いているようで、
実際には自分の考えを通して聞いていることがよくあります。
「こういうことだろう」
「こうしたらいい」
「それは違うのではないか」
そんなふうに、自分の中で理解しながら聞いています。
もちろん、それが悪いわけではありません。
人は誰でも、自分の経験や考えを通してしか、相手の話を受け取ることができません。
ただ、それだけでは、相手の話を「聴く」ことにはなりません。
相手が何を言いたいのか。
どうしてそう感じているのか。
どんな気持ちで、その言葉を話しているのか。
そうしたことに関心を向けて、
分かろうとしながら聴くこと。
それが、「聴く」ということです。

聴いてもらうことで、
以前は霧や靄のようにぼんやりしていたけれど、
聴いてもらう中で、少しずつ輪郭が見えてくることがあります。
カウンセリングでは、
相手の話を評価したり、結論を急いだりするのではなく、
その人が感じていることや考えていることを、丁寧に聴いていきます。
話しているうちに、
自分でも気づいていなかった気持ちや考えに気づくことがあります。
人は、自分のことを分かろうとしてもらえたと感じたとき、
少し安心します。
そして、その安心の中で、
自分の気持ちや考えを、もう一度見つめることができるようになります。
「分かろうとすること」そのものが、
聴くことなのかもしれません。


