広島市で妊産婦ケアの一貫として新生児訪問をしておられる助産師・保健師を対象とした研修会で講演をさせていただきました。
テーマは「心の扉を開く聴き方 〜育児不安を抱える母親支援〜」
講演の導入部分を紹介します。
子育てを通して、女性は母親に、男性は父親に変化します。とても大きな変化です。
そのとき、怒りっぽくなるとか、寂しくなるとか、それまで気づかなかった感情を引き起こすことがあります。
子育てをするとき、「自分と母親・父親との関係」がモデルになります。
いいモデルがあると子育てはやりやすいのですが、モデルが不適切だと苦労します。
僕は臨床心理士として「聴く」仕事をしていますが、「聴く」のはとても難しい。これが僕の実感です。
どうやったら、もっとうまく聴くことができるか、これは僕の課題です。
聴く事について学んできたことをお話しできればと思います。
カウンセラーの仕事を通して感じるのは、乳幼児期の母子関係が、その後の人生に大きな影響を与えるということです。
幼稚園から高校生、さらに成人のお子さんをもつ親御さんが相談に来られますが、困り事の出発点が、乳幼児期に遡ることに気づかされます。
さらに、親御さんの両親との関係に遡ることもよくあります。
子どもの問題でカウンセリングに来られるお母さんの多くが、自分の関わり方に問題があると感じておられます。
子どものことを話していて、自分と親との関係に話が発展することもあります。
参加者の感想を紹介させていただきます。
・乳幼児期からの母子関係がその後にかなりの影響があるということを改めて痛感しました。
・「相手が決められるよう援助するのであって、支援者が決めることではない」という言葉がとても心に残りました。
・対象者に関わる時、質問ぜめにし、問題解決型思考になっていることに気づきました。主体は対象者であること、状況の好転には時間がかかることをあらためて認識することができました。認識することで、私自身の気持ちが楽になっていることにも気がつきました。
・「答は自分の中にある」と言われているように、相手が自ら答を引き出せるように関わりたいと思います。
・産後うつなどは母子関係が根っこにあると痛感しています。世代間連鎖にならないよう妊娠・出産のターニングポイントに出会う私たちの役割は大切だなと思います。
・ワークショップでは自分の普段の質問、解釈、説教してしまう癖などがよくわかり反省です。
・自分では相手の方の気持ちを代弁したつもりでも、相手の気持ちとは少しニュアンスが違っていることがあり、失敗したなと思うことがあります。また、相手の話をきいている時に、自分の発言をはさんでしまい、会話のリズムがくずれるということがありました。
・講義の中で、「支援者自身が成長する」ことが大切であり、その通りだなと思いました。相手と話すことで、自分の弱みに気づくことができるシーンも多く、支援し合っているのだと感じることができました。
・メンタル面で自分が元気で楽しむ事をもっているのは大事と改めて学びました。