「夕陽のように」というタイトルのエッセイを紹介します。
K夫人が、遂に家庭裁判所へ相談に行ったのは、結婚後4年目のことである。
「私の結婚生活は、失敗に終わりそうです。私は良い妻になろうとし、夫の仕事をよく理解し、彼の成功のためにできることは何でもしました。それでもあの人は私に感謝していないようです」と彼女は家事事件の担当者に話した。
「あなたはご主人を尊敬なさっていますか」と係員が聞いた。
「もちろんですわ」とK夫人は答え、「ただ私は・・・」と言いかけると、
係員は「夕陽を見るようにご主人をご覧になるかと聞いているのです」と言った。
K夫人はこの言葉に当惑した。
そこで係員は説明した。
「誰でも夕陽を感心して見ます。理由の一つは、私たちの力が全く及ばないことだからです。それを変えようとは思いません。繰り広げられるままの美しさを敬うような気持ちで見ます。
残念ながら私たちは、人間に対してこういう態度をとることは稀です。愛する人の持つ美しさを見るよりも、その人を思うままに動かしたり変えたりしようとしがちなのです」。
続けて、
「残念ですが、あなたはご主人を愛していないようです。
ご主人はこうあるべきだという、あなたの心の中に作ったイメージを愛しているのです。
彼はそのイメージ通りにならず、あなたは不満を感じている。その不満が、彼にあなたの存在を不愉快に思わせるのです」と語った。
K夫人がそこを出た時、ちょうど夕陽が沈むところで、空はオレンジ色に輝いていた。
彼女は結婚生活に新たな考えを持つことができたのであった。 (心のともしび 2017年2月1日)
これを読んで、どんなことを感じますか?
私たちは人に「こうあってほしい」という期待を抱き、
期待通りにならないと不満に感じることがよくあります。
特に、配偶者や子どもなど親しい相手に対してそうなりやすいです。
相手をそのまま受け容れることができると、自分も相手も楽になりますね。
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