子どもを “そのまま” 受け止める

子どものころから親に否定されることが多かった人のなかに、家族や友人、職場の人に、ちょっと強く言われると、落ち込んでしまう人がいます。

相手は自分の意見を言っているだけなのに、否定されたように感じていることがあります。

カウンセリングを受けて、このように語った人がいます。

「職場で何か言われても、落ち込まなくなりました。話せるようになってきました。親に言い返せるようになりました。突っぱねられるようになりました。否定され続けると、泥泥と沈殿してしまいます。自分でも気づかないうちに。深いものがありました」。

子どもが親に否定されたと感じるのは、親が否定的な言葉を発している場合もありますが、子どもが「いやだ」「嫌い」「悲しい」「腹立つ」といった、否定的な気持ちを発したときに、親に受け止めてもらえなかった場合が多いです。

「勉強したくない」と言ったとき、「だめでしょう。勉強しないと、高校に行けないよ」と言われたり、「〇〇ちゃんとケンカした。もう遊びたくない」と言ったとき、「誰とでも仲良くしないとだめよ」と言われると、子どもは否定された気持になります。

子どもが「勉強したくない」、「あの子と遊びたくない」と言ったとき、 親は不安になって、子どもを変えようとします。

そうすると、子どもは、自分の気持ちが否定されたように感じます。

まずは、勉強したくない気持ち、ケンカして悲しい気持ちを、そのまま受け止める必要があります。

肯定的受容」という言葉があります。

「勉強したくない」気持ちを肯定するとは、「勉強しない」ことを肯定するのとは違います。

子どもが否定的な気持ちを伝えるとき、話している「内容」を肯定するのではなく、「気持ち」を肯定します。 子どもの気持ちを “そのまま” 受けとめます。

これが肯定的に受容することです。

子どもは、話したことが「そのまま」受け入れられると、 自分は認められている、尊重されていると感じます。

元気になります。

「子どものとき、親には、良かったことだけを話し、マイナスな出来事や気持ちは話さなかった」と話す人がいます。「親を悲しませたくなかったから」と言います。

親が子どもに対して、ネガティブなことを話せない雰囲気を作り出していたのです。

親の前で泣ける。 親に悪態をつける。

これは、子どもが親に安心している証拠です。

悲しいとき親の前で泣けた子ども、腹が立ったとき、イライラしたとき、思い切り悪態がつけた子どもは、大きくなって、落ち着いて、自分の気持ちを表現できるようになります。

人のいろんな感情を受け止めることができるようになります。

安心して人と交流することができるようになります。