心理カウンセリングの効果

私は、中学・高校で教員として働いた後、心理カウンセラーに転向しました。

そのとき、一人の友人に、「日本ではカウンセリングは馴染まないよ」と言われました。それを聞いたときはショックでしたが、次第に、なるほどと思うようになりました。

身体に不調があるときは、医療機関に行って、薬を飲んだりして治療します。

ところが、不安、抑うつ、緊張、イライラ、意欲の低下などで、かなりつらい状態になっていても、自力で切り抜けようとする人がいます。

「心の問題は、がまんすればいい。がんばったら、なんとかなる」とか、「心の悩みを相談するのは、弱い人がすること」と考える人もいます。

心の問題を放っておくと、身体にも、いろんな症状が現れます。

カウンセリングは、心の不調を解決するために、とても役立つのですが、どのような効果があるのでしょうか。

その1 自分の欲求を知る

人は、生まれたときから、いろんな欲求をもっています。

欲求は心の原動力です。

欲求が満たされないと、欲求不満に陥ります。

子どもにとって、欲求が満たされない状態が長く続くのは、とてもつらいことです。

いろんな理由をつけて、欲求を諦めようとします。

大人になって、腹を立てたり、悲しくなったり、イライラしたりしやすくなります。

やる気が起きなかったり、目標が見つからなかったりします。

自分の欲求や理想を、他の人に実現しようとしたりします。

カウンセリングは、自分が本当に望んでいること、やりたいことに気づかせてくれます

 

その2 自分の感情や思考、行動の癖を知る

カウンセリングでは、普段の生活で感じたり考えたりしたことを話します。

話すことで、自分がどのように行動したり考えたり感じたりしているかを、知ることができます。

自分や他者のことを、客観的に見ることができます。

自分のことは、思っている以上に、わかりにくいものです。

現在の人間関係のあり方は、子どものころから徐々に出来上がってきた「感じ方・考え方・行動の仕方」によって動かされています。

私たちは、いろんなことを感じたり考えたりしているのですが、ほとんどが無意識に行われています。

たとえば、「自分はダメだ」という思いがあると、何をやっても達成感を得にくいです。

「人が怖い」という感情があると、人に会う前から緊張します。

誰でも、長年かけて身についた感じ方や考え方、行動の仕方に癖があります。

生きにくさを感じているときは、こういった癖が影響しています。

 

カウンセリングをすることで、自分の癖を知り、修正することで、ずいぶん生きやすくなります。