〈きもち〉を語る

小さな子どもは、場の雰囲気や相手の気持ちにお構いなく、自分の感情をストレートに表現します。

 

そういったとき、“楽しい”、“うれしい”、“好き”といった感情は親に喜ばれますが、

“怒る”、“悲しい”、“いやだ”といった負の感情は、否定されやすいです。

 

特に、自分自身が負の感情を抑えて生きてきた親は、子どもがそれを表現すると、強く抑えつけてしまいます。

 

そうすると、子どもは自分の感情を素直に出せなくなります。

 

次第に、感情表現が乏しくなります。

 

 

カウンセリングでは、感情を語ることを大切にします。

 

知識や理屈を述べるのは慣れていても、気持ちを表現するのは苦手という人がおられます。

 

その中でも“悲しい”、“さみしい”、“つらい”、“腹がたつ”、といった感情を表現できずに、心の奥にずっと溜め込んできた人が大勢おられます。

 

自分の気持ちを正直に伝えると相手に悪く思われる嫌われると思って、表現するのを抑えているうちに、自分の気持ちがわからなくなってしまいます。

自分を好きになる本 

 

 

子どものときに素直に感情を出したときに親に嫌がられたり怒られたりすることが多いと、「気持ちを表現することは親を困らせる、苦しめる」と思いこんでしまいます。

 

 

人は自分の気持を素直に表現することで、心が安定し、自分らしく生きることができます。

 

表現できないと、感情は心の中で抑圧され、イライラ、無気力、無関心、様々な身体症状につながっていきます。

 

 

パット・パルマーが『自分を好きになる本』(径書房)の中で、〈きもち〉について話しています

 

怒っている〈きもち〉をどんどんためていくと、病気になってしまうかもしれない。

 

いつかドカーンと爆発しちゃうかもしれない。だれかを傷つけてしまうかもしれない。

 

言葉で……、ゲンコツで……。

 

自分の〈きもち〉を話すということは、だれかを傷つけたり、責めたりすることとは違うんだよ。

 

きもち〉は、わたしたちに教えてくれる……。いま、なにがおこっているのか、なにがほしいのか、なにが大切なのか。

 

うれしい
幸せ
いいきもち
ふつう
まあまあ
ゆううつ
悲しい
怒っている

 

きもちって心をはかる温度計みたい。

自分を好きになる本p13

 

 

きもち〉に耳をすましてみよう。〈きもち〉はあなたに「自分のことを大切にして」って話しかけてくる。

 

いま、あなたはどんな〈きもち〉? なにも感じないよってふりをしてみても、〈きもち〉は消えたりしない。

 

男の子も、女の子も、大人も……、みんな〈きも〉を持っている。

 

時には、思いっきり泣くことが大切なんだ。

 

自分の〈きもち〉をがまんしなくていいんだよ。

 

つらい〈きもち〉もちゃんと受け止めて。

 

だって、それに目をつぶったり、おさえつけたりしていたら、いつまでも、いつまでもその〈きもち〉はなくならない。

 

心の中にある傷ついた〈きもち〉は、できるだけ早く心の外に出してあげよう。

いつまでも心の中に閉じこめないで、言葉や態度で表現しよう。

 

心の外に出してあげれば、すっきりするよ

自分を好きになる本p15